お金と資源の関係

最近 齋藤幸平著の「人新世の資本論」にはまっている。

いままでもやもやしていたものがだいぶすっきりした。

そこで考えた事を書いてみる。

 

a.お金は人の概念である。

  お金、すなわち貨幣、通貨は人の概念である。

  人以外の動物がお金を使って交換することはない。

b.お金は価値の概念である。

  価値のないものは交換されない。金にならない。

  価値には使用価値と交換価値がある。

  万年筆は使用価値である。壊れた万年筆はゴミとしての価値しかない。

  ところが、文豪が使っていた万年筆は使用価値を離れて、壊れていても

  交換価値がつき、高値で交換される。

  以下では、使用価値についてのみ考察する。

c.使用価値は資源と結びついている。

  資源は大きく二つある。一つは自然資源、もう一つは人的資源である。

  自然資源は自然物であり、自然から与えられるもののすべてである。

  農業、林業水産業、製造業のいずれも収穫物、原料などの自然物無しにはありえ  

  ない。

  人的資源は人間の労働である。

  これはマルクスが指摘した人間と自然の特別な関係である。

  人以外の動物には労働はない。

  人間の労働が単なる自然物を使用価値に変換する。

  この過程が人的資源である。

  また、人的資源を交換することもある。これがサービス業である。

  しかし、サービス業の対価としての価値も最終的には使用価値として交換され、

  自然物が消費されることとなる。

d.お金は価値を交換する道具である。

e.物価が上がる。

  去年100円で買えた物が、今年200円になっていたとする。

  ものが同じであるとすれば、お金の価値は半分になり、

  その物の価値は倍になったことになる。

  その物が自然資源から作られたものであるとすれば、

  その物の自然資源は倍の価値に上がったこととなる。

  自然資源が希少になり、価値が上がったのか、労働資源の価値が上がったのか

  どちらかになる。また、両方とも上がることもあるだろう。

  ここで、生産性が問題となる。

f.生産性について

  自然資源と労働資源を投入して、これまでの単位時間当たりの

  倍の生産量が実現できたとすれば、生産性は倍に上がったこととなる。

  生産機械または人的資源の効率改善が原因となる。

f.恒常的に物価が上がるのはなぜか。

  自然資源が少なくなってゆくからである。または、同じ自然資源が

  より多くの人的資源の投入無しには同一の収量が得られなくなり、

  人的資源の投入量の増加分を含めて、相対的に価値が上がるからである。

  ところで、科学、技術の発展は生産性を挙げてきたのだが、

  歴史をみると物価は変動しながらも、平均すると恒常的に上がっている。

  つまり、生産性の向上は自然資源の枯渇を止めることができないでいること

  になる。この結論は平凡である。地球に宇宙から資源が投入されるわけではない

  のに、人口のみが増えているので当然といえる。また、生産性の向上は

  自然資源の減少に追いついていないことになる。

g.恒常的に物価が上がるのは、自然資源の減少が原因である。

  これが今日の結論である。

 

乞う、ご意見。

 

以上